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VOCALOID(ボーカロイド)の誕生から発展までの歩み

2025年11月25日

ヤマハが開発した歌声合成技術VOCALOIDは、初音ミクの登場を機に音楽文化に革命をもたらしました。このタイムラインでは、VOCALOIDの誕生から、ボカロP文化の隆盛、そして商業音楽シーンへの影響拡大まで、その発展の軌跡を追います。

📝 総括

VOCALOIDの誕生から音楽文化への革新:タイムライン総括

ヤマハが開発した歌声合成技術VOCALOIDは、2000年3月の「DAISYプロジェクト」開始から始まりました。2003年の技術発表を経て、2004年には初の日本語ライブラリ「MEIKO」、そして「KAITO」が発売され、アマチュアDTMユーザーの間で注目を集めました。

2007年のVOCALOID2発表後、同年8月に発売された「初音ミク」は、バーチャルアイドルとして音楽業界に革命をもたらしました。ニコニコ動画を中心に「ボカロP」文化が隆盛し、ryo氏の「メルト」は「メルトショック」と呼ばれる現象を巻き起こしました。ハチ(米津玄師)氏のボカロPデビューや、初音ミクのライブパフォーマンス、海外公演などを経て、VOCALOIDはグローバルな音楽表現ツールへと進化しました。

VOCALOID3、4、5、6とバージョンアップを重ね、表現力は向上し続けました。2012年には米津玄師氏が本名でソロ活動を開始し、2018年にはAyase氏がボカロPデビュー。そのAyase氏とikuraさんによるYOASOBIのデビューは、ボカロP出身アーティストが商業音楽シーンを席巻する象徴となりました。初音ミクの「マジカルミライ」や全国ツアーは、創作文化とライブパフォーマンスの融合を示し、VOCALOIDは今後も多様な音楽表現の可能性を広げていくでしょう。

📜 タイムライン

1
📅 2000年3月1日

VOCALOID開発がスタート

ヤマハ株式会社が、後にVOCALOIDとなる歌声合成ソフトウェアの開発を「DAISYプロジェクト」として開始しました。シンセサイザーなど電子楽器化が進む中で、歌声の電子楽器化という新たな領域に挑戦しました。このプロジェクトは、人の歌声を自由に操るシンセサイザーの実現に向けた第一歩となりました。開発はヤマハの豊岡工場の一角で、音声収録や合成アルゴリズム開発などが集中的に行われました。

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2
📅 2003年2月26日

歌声合成技術VOCALOID発表

ヤマハが、音声合成技術の研究開発を経て、歌声合成技術「VOCALOID」を発表しました。歌手の歌声をデータベース化し、そのデータをもとに歌声を合成するという画期的な技術は、世界中の技術者から大きな関心を集めました。これにより、「歌声」を電子楽器として扱える可能性が示されました。

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3
📅 2004年1月15日

初代VOCALOID製品発売

イギリスのZERO-G社から、VOCALOID技術を使用した初のパソコン向けパッケージ製品である英語ライブラリ「LEON」と「LOLA」が発売され、VOCALOID(1)が一般向けに販売開始されました。ヤマハがVOCALOIDを発表した後、ライセンス契約を結んだ各社が音源を製作し、製品として市場に供給する流れが始まりました。この技術は、音楽クリエイターたちの間で「人の歌声を機械で作る」という可能性として注目を集め始めました。

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4
📅 2004年11月5日

日本語VOCALOID「MEIKO」登場

クリプトン・フューチャー・メディアから、初の日本語用VOCALOIDである「MEIKO」が発売されました。当時は英語圏向け製品が中心で、日本語対応製品はまだ少なく、知名度も高くありませんでした。MEIKOは、コンピュータで歌手を創造できるというメリットから、アマチュアDTMユーザーの関心を集め、初年度で3000本を売り上げるヒットとなりました。

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5
📅 2006年2月17日

日本語VOCALOID「KAITO」発売

クリプトン・フューチャー・メディアから、日本語男性歌声ライブラリ「KAITO」が発売されました。MEIKOに続き、日本語の歌声ライブラリのラインナップが拡充されました。KAITOは日本語男声ライブラリのパイオニア的存在として、現在に至るまで人気を集めています。

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6
📅 2007年1月1日

VOCALOID2発表

ヤマハが、アメリカのアナハイムで開催されたNAMMショーにて「VOCALOID2」を発表しました。これは初代VOCALOIDの技術をさらに発展させ、よりクリアな発音を可能にするためのバージョンアップでした。この新しいエンジンは、後の初音ミクの爆発的な普及の基盤となる重要な技術進化でした。

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7
📅 2007年8月31日

初音ミク発売とボカロP文化の誕生

クリプトン・フューチャー・メディアから、VOCALOID2を採用した日本語音声ライブラリ「初音ミク」が発売されました。「16歳のバーチャルアイドル」という設定と、可愛らしいビジュアル、そして誰でも自由に曲を作って公開できる文化が、音楽業界に新しい風を吹き込みました。ニコニコ動画などを中心に、「ボカロP」と呼ばれるクリエイターが次々と楽曲を投稿し、イラストや動画など二次創作文化が隆盛しました。これは「音楽の民主化」とも言われ、インターネット発の文化を大きく変えるムーブメントとなりました。

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8
📅 2007年12月1日

ryo「メルト」発表と「メルトショック」

ボカロPのryo氏が、初音ミクを使用した楽曲「メルト」をニコニコ動画に投稿し、爆発的なヒットを記録しました。この楽曲は1500万回以上再生され、ボカロ曲の可能性を広く知らしめました。多くのクリエイターに影響を与え、ボカロ曲の拡大と進化を加速させたこの現象は「メルトショック」と呼ばれ、ボカロ文化の大きな転換点となりました。

9
📅 2009年5月1日

ハチ(米津玄師)ボカロPデビュー

現在シンガーソングライターとして活躍する米津玄師さんが、「ハチ」名義でボカロPとしての活動を開始しました。バンド活動がうまくいかない時期にボーカロイド・初音ミクと出会い、ニコニコ動画の盛り上がりの中で自身の音楽が受け入れられる可能性を感じて活動を始めました。「結ンデ開イテ羅刹ト骸」などのミリオン再生楽曲を発表し、ボカロ界で絶大な支持を得ました。彼の登場は、ボカロPが商業音楽シーンに進出する道を拓く重要な事例の一つとなります。

10
📅 2009年8月22日

初音ミク、初のライブパフォーマンス

初音ミクが、さいたまスーパーアリーナで開催された『アニメロサマーライブ2009-RE:BRIGE‐』にアーティストとして登場し、初めてライブパフォーマンスを披露しました。2万5000人の観客を前にしたこのステージは、バーチャルシンガーが現実世界のステージでパフォーマンスを行うという、新たな表現の可能性を示しました。これは、インターネット上で人気を博していた初音ミクの楽曲や作品が、現実のステージでどのように表現されるかという注目を集めました。

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11
📅 2009年8月31日

ミクフェス '09 (夏) 開催

「ミクフェス '09(夏)」が開催され、透過式のディラッドスクリーンにミクを投影することで、ミクが実際にそこにいるように体感できる演出が初めて採用されました。アニメロサマーライブでの成功を受け、よりバーチャルシンガーとしての存在感を高める演出が模索されました。バーチャルアイドルとしてミクが生み出してきたネット上での熱気がリアルの場に可視化され、実在と非実在の境界を曖昧にする3DCGライブの可能性を提示しました。

12
📅 2009年11月21日

初音ミク初の海外公演

初音ミクがアニメ・フェスティバル・アジア2009に参戦し、初の海外公演を飾りました。日本国内での人気が高まる中、海外での展開も視野に入れられました。この公演は、VOCALOID文化が日本を飛び出し、グローバルに広がるきっかけの一つとなりました。

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📅 2011年1月1日

VOCALOID3リリース

VOCALOIDシリーズのメジャーバージョンアップとして「VOCALOID3」がリリースされました。VOCALOID2の成功を受け、さらなる表現力の向上と多言語対応が求められた結果、日本語、英語に加えて中国語、韓国語、スペイン語の計5か国語に対応し、VOCALOIDのグローバル化が大きく進みました。

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📅 2012年1月1日

米津玄師、本名で活動開始

ボカロP「ハチ」として活動していた米津玄師さんが、本名の「米津玄師」名義でボーカロイドではない自分自身でボーカルをとったアルバム『diorama』を発売し、ソロアーティストとしての活動を始めました。「初音ミクを隠れみのにしたくない」という思いから、本名での活動を決意しました。ボカロPとして培った音楽性と表現力をメジャーシーンに持ち込み、後の大ヒットアーティストとしての地位を確立しました。

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📅 2013年8月30日

初音ミク「マジカルミライ」初開催

「初音ミクのすべてを1日で体験できるユーザー参加型文化祭」をコンセプトにした「初音ミク「マジカルミライ」」が、横浜アリーナで初開催されました。ライブと創作文化の展示を併催する形で企画され、毎年継続して行われるイベントとなりました。2023年には6万人以上を動員するなど、初音ミクの祭典として人気を博し、ライブと企画展を通じて、初音ミクの創作文化を体感できる場を提供し続けています。

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📅 2014年

VOCALOID4リリース

VOCALOIDシリーズのバージョンアップとして「VOCALOID4」が提供されました。さらなる歌声の表現力向上と機能拡張が図られました。クロスシンセシス機能などが搭載され、複数の声色を混ぜて新しい歌声を作り出すことが可能になりました。

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📅 2018年

VOCALOID5リリース

VOCALOIDシリーズのバージョンアップとして「VOCALOID5」が提供されました。より自然で表現豊かな歌声の実現を目指して開発されました。新機能の追加により、楽曲制作の幅がさらに広がりました。

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📅 2018年12月24日

Ayase、ボカロPデビュー

現在音楽ユニットYOASOBIのメンバーとして活躍するAyaseさんが、初のボカロ曲「先天性アサルトガール / 初音ミク」を投稿し、ボカロPとしてデビューしました。幼い頃からピアノを習い、バンド活動もしていたAyaseさんが、VOCALOID楽曲の制作を開始しました。「ラストリゾート」などで殿堂入りを果たし、人気ボカロPとしての地位を確立しました。彼の登場は、ボカロPがメジャーシーンで活躍する新たな潮流を生み出すことになります。

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📅 2019年11月1日

YOASOBIデビュー

ボカロPのAyaseさんとシンガーソングライターのikuraさんによる音楽ユニット「YOASOBI」が結成され、「小説を音楽にする」をテーマに活動を開始しました。AyaseさんがボカロPとして培った経験とikuraさんの歌唱力が融合し、新しい音楽表現を追求しました。デビュー曲「夜に駆ける」が大ヒットし、ボカロP出身のアーティストが商業音楽シーンを席巻する象徴的な存在となりました。

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📅 2022年10月13日

VOCALOID6リリース

VOCALOIDシリーズの最新版となる「VOCALOID6」がリリースされました。旧バージョンから4年3か月を経ての登場で、より自然な歌声と多機能化が追求されました。日・英男女のボーカルが自然にハーモニーを奏で、英語歌詞も交えて歌うなど、表現力が大幅に向上しました。これにより、クリエイターはさらに多様な歌声表現が可能になりました。

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📅 2025年4月5日

初音ミク、全国ライブツアー開始

2025年4月から5月にかけて、初音ミクが日本全国を巡るライブツアー「初音ミク JAPAN LIVE TOUR 2025 ~BLOOMING~」が開催されます。2023年の日本ライブツアーから2年を経て、会場を7箇所に増やし、より多くのファンにバーチャルシンガーたちのライブを届けることを目的としています。このツアーは、初音ミクをはじめとするバーチャルシンガーたちが、日本各地で創作の息吹を届け、ボカロ文化のさらなる広がりと定着に貢献します。

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