はやぶさ2:小惑星リュウグウ探査と地球帰還の軌跡
小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げから、小惑星リュウグウでの探査、サンプル採取、そして地球への帰還と分析に至るまでの主要な出来事をまとめたタイムラインです。太陽系の起源や生命の謎に迫る科学的発見の道のりをたどります。
📝 総括
はやぶさ2:小惑星リュウグウ探査と地球帰還の軌跡 総括
小惑星探査機「はやぶさ2」は、2014年12月3日に打ち上げられ、約3年半後の2018年6月27日に目的地の小惑星リュウグウに到着しました。
リュウグウでは、2019年2月22日に1回目のタッチダウンで地表の物質採取に成功し、同年4月5日には人工クレーター生成実験を実施。さらに7月11日には、地下のサンプル採取を目指した2回目のタッチダウンにも成功しました。これらの探査活動を終え、はやぶさ2は2019年11月13日にリュウグウを出発し、地球への帰還の旅を再開しました。
2020年12月6日、採取したサンプルカプセルはオーストラリアのウーメラ砂漠に無事着地・回収されました。その後の分析により、2022年6月10日には生命の材料となるアミノ酸や有機物が検出され、2025年7月17日には太陽系最古の岩石(約45億6730万年前)、9月18日には古代の流水痕跡が発見されるなど、太陽系の起源や生命の謎に迫る画期的な発見が相次いでいます。また、拡張ミッションでは探査予定の小惑星が「トリフネ」と命名されました。
📜 タイムライン
はやぶさ2、宇宙へ
小惑星探査機「はやぶさ2」が、H-IIAロケット26号機で種子島宇宙センターから打ち上げられました。当初の予定から延期されましたが、無事に地球の軌道を離れ、小惑星リュウグウを目指す旅が始まりました。このミッションは、世界初の小惑星からのサンプルリターンを目指すもので、多くの期待が寄せられました。
小惑星リュウグウに到着
打ち上げから約3年半、はやぶさ2は目的地の小惑星リュウグウに到着しました。探査機はリュウグウから約20km離れた位置で観測を開始し、これから約1年半をかけて、この小惑星の詳細な調査とサンプル採取の準備を進めることになりました。
1回目のタッチダウン成功
はやぶさ2は、小惑星リュウグウの地表に1回目のタッチダウンを行い、表面の物質採取に成功しました。リュウグウ表面には予想以上に大きな岩が多く、着陸地点の選定や技術的な課題がありましたが、無事にサンプルを採取することができました。
人工クレーター生成に成功
はやぶさ2は、搭載していた衝突装置(SCI)をリュウグウの表面に落下させ、人工的なクレーターを作ることに成功しました。この実験は、宇宙風化を受けていない地下の物質を採取するために行われ、世界初の試みでした。探査機は、クレーター生成の様子を遠くから観測しました。
2回目のタッチダウン成功
はやぶさ2は、人工クレーターができた場所の近くに2回目のタッチダウンを行い、地下のサンプル採取に挑みました。この成功により、地表のサンプルと地下のサンプルという、異なる場所から採取された貴重な試料を得ることができました。プロジェクトチームは「100点満点で1000点」と成功を称賛しました。
📎 出典・参考資料:
リュウグウを出発
約1年半にわたる小惑星リュウグウでの探査活動を終え、はやぶさ2はリュウグウを離れ、地球への帰還軌道に入りました。採取したサンプルを安全に地球へ持ち帰るための、長い旅が再び始まりました。
📎 出典・参考資料:
サンプルカプセル地球帰還
はやぶさ2が小惑星リュウグウで採取したサンプルが入ったカプセルが、オーストラリアのウーメラ砂漠に着地し、無事回収されました。カプセルは地球の大気圏に再突入し、パラシュートを開いて着陸しました。このサンプルは、太陽系の成り立ちや生命の起源を探る上で、非常に貴重なものとなります。
リュウグウサンプルからアミノ酸検出
JAXAは、はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウのサンプルから、生命の材料となる23種類のアミノ酸や多数の有機物が検出されたことを発表しました。これは、生命の起源が地球外からもたらされた可能性を示唆する、画期的な発見です。
拡張ミッション目標天体に「トリフネ」と命名
はやぶさ2の拡張ミッションで探査予定の小惑星「2001 CC21」が、国際天文学連合によって「トリフネ(Torifune)」と命名されました。この名称は日本神話の神に由来しており、探査の安全を願う気持ちが込められています。
太陽系最古の岩石を発見
リュウグウのサンプルから、約45億6730万年前の太陽系最古の岩石が発見されたと発表されました。これは太陽系誕生直後の物質と考えられており、太陽系の成り立ちを解明する上で非常に重要な発見です。
リュウグウに古代の流水痕跡を発見
リュウグウのサンプル分析から、過去に液体水が流れていた痕跡が発見されたと発表されました。この発見は、地球の水の起源や生命の誕生に関する理解を深める上で、重要な手がかりとなります。