Ano News

週休3日制の導入、日本企業での広がり

2025年11月25日

2015年以降、ユニクロや日本マイクロソフト、みずほFG、パナソニックなどの企業が週休3日制を導入・試行してきました。政府も2021年に「選択的週休3日制」の普及を後押しする方針を示し、多様な働き方やワークライフバランスの向上を目指す動きが加速しています。この記事では、週休3日制導入の主な出来事を時系列で追います。

📝 総括

週休3日制、日本企業での導入と広がり:タイムライン総括

2015年以降、日本企業における週休3日制の導入・試行が段階的に進んでいます。

2015年9月、ユニクロが地域正社員を対象に労働時間維持型の週休3日制を導入したのを皮切りに、2019年には日本マイクロソフトが金曜日休業のトライアルを実施し、生産性向上やコスト削減効果を確認しました。2020年にはみずほFGが給与減額型で週休3~4日制の導入方針を発表し、個人の多様な活動支援を目指しました。

政府も2021年、「骨太の方針2021」で「選択的週休3日制」の普及を後押しする方針を明記し、企業の自主的な取り組みを促しました。これを受け、2022年にはパナソニックが選択型週休3日制の試験導入を発表しました。

こうした動きは、従業員の意識にも変化をもたらしています。2025年の意識調査では、週4日勤務の方が生産性が上がると考える人が過半数に達し、転職や定着において週休3日制が重視される傾向が示されています。

📜 タイムライン

1
📅 2015年9月1日

ユニクロ、週休3日制導入を発表

カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、2015年10月から国内の「地域正社員」約1万人を対象に、希望者向けの週休3日制を導入すると発表しました。1日の労働時間を10時間に延長する「労働時間維持型」で、給与は週休2日制の社員と同等に維持されます。育児や介護との両立支援、人材確保・定着が狙いです。顧客の多い土日祝日は原則出勤とし、休日は平日に取得する形式が取られました。しかし、1日10時間労働の負担増や疲労、社員同士のコミュニケーション減少への懸念も指摘されました。

2
📅 2019年8月1日

日本マイクロソフトが週休3日制を試行

日本マイクロソフトは、「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」と題し、8月中の毎週金曜日を休業とする週休3日制のトライアルを実施しました。約2,300名の社員が対象で、「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」ことを目指し、生産性や創造性の向上を試みました。会議時間の短縮や参加人数の制限、Teams活用など効率化の工夫も推奨されました。この試行により、就業日数が減少し、印刷枚数や電力消費量も大幅に削減されました。従業員満足度調査では9割以上が制度を評価しましたが、一部からは顧客対応の難しさや業務量の増加を懸念する声も上がりました。

3
📅 2020年10月6日

みずほFG、週休3~4日制導入へ

みずほフィナンシャルグループは、社員が希望に応じて週休3日または週休4日の働き方を選べる制度を導入する方針を発表しました。これは、社員の成長や社内外で通用する人材価値の最大化を目指す「5ヵ年計画」の一環です。対象は約4万5000人の正社員で、1日の労働時間は7時間30分ですが、週休3日の場合は基本給が約8割、週休4日の場合は約6割に減額される「給与減額型」です。リカレント教育、資格取得、副業、育児、介護などへの活用が想定されています。コロナ禍でのリモートワーク推進も導入を後押ししました。

4
📅 2021年6月1日

政府、「選択的週休3日制」を骨太の方針に明記

政府は、経済財政運営と改革の基本方針、通称「骨太の方針2021」に、「選択的週休3日制」の普及促進を盛り込みました。これは、育児や介護、治療など多様な事情を抱える人々が働きやすい環境を整備し、労働力の裾野を広げること、また、リカレント教育や副業・兼業を促進し、個人のスキルアップやキャリア形成を支援することを目的としています。この方針は企業や個人の自主的な選択に委ねられており、義務化はされていません。政府が後押しすることで、週休3日制への注目度がさらに高まり、大手企業を中心に導入・検討の動きが加速しました。

5
📅 2022年4月18日

パナソニック、選択型週休3日制の試験導入へ

パナソニックホールディングスは、社員の希望により週3日休める「選択型週休3日制」を試験的に導入する方針を発表しました。これは、従業員の価値観の多様化に対応し、社外副業、地域ボランティア、自己学習などのための時間創出を目的としています。まずパナソニックホールディングスとパナソニックオペレーショナルエクセレンスの約5000人を対象に試行され、他のグループ会社も検討する予定です。1日の所定労働時間は変えずに月間の労働時間を減らす方向で検討されており、給与への影響は慎重に協議されることになりました。大手メーカーとしては異例の取り組みとして注目されました。

6
📅 2025年6月3日

週休3日制、生産性向上に寄与との意識調査結果

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンがアジア5地域(日本、中国、香港、マレーシア、シンガポール)のビジネスパーソンを対象に実施した意識調査によると、日本では回答者の54%が「週4日勤務の方が、週5日勤務より生産性が上がると思う」と回答しました。「より業務に集中できる」との意見が多く、否定的な意見はわずか9%でした。また、回答者の35%が「転職先を検討する際に週休3日制を重視する」と答え、40%は「ワークライフバランスの良さから現在の企業にとどまっている」と回答しました。この結果は、従業員のウェルビーイングを高める施策が、採用・定着の両面でプラスに働く可能性を示唆しています。