JeSU設立から現在までの日本のeスポーツ発展タイムライン
2018年の日本eスポーツ連合(JeSU)設立から、プロライセンス制度の導入、高額賞金大会の開催、国際大会への参加、そしてJOC準加盟に至るまで、日本のeスポーツがどのように発展してきたかを追ったタイムラインです。eスポーツが「遊び」から「競技スポーツ」へと社会的な認識を変えていく過程を、主要な出来事とともに分かりやすく解説します。
📝 総括
JeSU設立からJOC準加盟まで:日本のeスポーツ発展タイムライン総括
2018年2月の日本eスポーツ連合(JeSU)設立は、国内eスポーツの統一的な推進体制構築の象徴的な出来事でした。設立と同時にプロライセンス制度が発表され、同年2月の「闘会議2018」で初のプロライセンス発行が行われました。これにより、高額賞金大会の開催が可能となり、eスポーツ選手の職業としての地位向上への道が開かれました。
その後、21社の正会員加盟(2018年6月)やアジア競技大会での優勝(2018年9月)を経て、JeSUはeスポーツの競技スポーツとしての地位確立を進めました。法的な整理(2019年9月)や全国規模の大会開催(2019年10月)、JADA加盟(2021年)により、健全な発展と信頼性の向上を図りました。
2023年9月にはアジア競技大会でeスポーツが正式種目となり、TEAM JAPANが派遣されました。そして2024年6月、JeSUは日本オリンピック委員会(JOC)に準加盟し、国際大会への選手派遣を迅速化するなど、日本のスポーツ界におけるeスポーツの地位を確固たるものにしました。
📜 タイムライン
JeSU設立に向けた5団体が取り組み発表
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)など5団体が、eスポーツ3団体の統合・新設に向けた取り組みを発表しました。2018年2月の「闘会議2018」で、プロライセンス発行の第1号となる大会を共同主催する予定でした。これは、国内eスポーツ団体の乱立を解消し、統一的な推進体制を築くための第一歩でした。プロライセンス発行のルール作りにも力が入れられました。
日本eスポーツ連合(JeSU)が活動開始
既存のeスポーツ3団体を統合し、CESAと日本オンラインゲーム協会(JOGA)の協力を得て、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、正式に活動を開始しました。eスポーツの本格的な普及を目指し、プロライセンスのルール化や競技大会の普及、選手の育成環境整備などが急務とされました。これは日本のeスポーツ産業にとって、統一的な推進組織が誕生した象徴的な出来事となりました。
JeSU公認プロライセンス制度を発表
JeSU設立と同時に、ジャパン・eスポーツ・プロライセンス(15歳以上)とジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス(13歳以上15歳未満)の2種類のプロライセンス制度の概要が発表されました。日本の景品表示法では高額賞金大会の開催が困難でしたが、JeSUはプロライセンス制度を「仕事の報酬」と位置づけることで、この問題を解決しようとしました。これにより、eスポーツ選手の職業としての地位向上も期待されました。
闘会議2018で初のプロライセンス発行
「闘会議2018」でJeSU公認大会が開催され、大会結果に基づき15人にジャパン・eスポーツ・プロライセンスが発行されました。これまでの実績保有者を含め、合計45人の個人ライセンスと8のチームライセンスが発行され、賞金総額は2,815万円に上りました。これは、プロライセンス制度の実運用を開始し、高額賞金大会の実現可能性を示した重要な出来事です。
JeSUに正会員21社が加盟
JeSUは、SNK、カドカワ、カプコン、ガンホーなど、ゲームメーカーを中心に21社が正会員として加盟したことを発表しました。これは、eスポーツの認知向上と選手の活躍の場を広げるため、幅広い企業からの支持と協力体制を確立する狙いがありました。この加盟により、eスポーツ産業の基盤が強化され、今後の企業スポンサー参入への足がかりとなりました。
アジア競技大会で日本代表選手が優勝
ジャカルタ・パレンバンで開催された第18回アジア競技大会のeスポーツ参考競技で、日本代表選手が優勝しました。eスポーツがアジア競技大会で参考競技として採用されたことは、国際的な舞台での日本のeスポーツ選手の活躍が期待される機会となりました。JeSUはこの大会への選手派遣を通じて、国際的な連携を深める一歩となりました。
📎 出典・参考資料:
高額賞金大会に関する法的整理が進展
JeSUは、eスポーツ大会の賞金提供が景品表示法に抵触しないかについて消費者庁にノーアクションレターを提出し、回答を得ました。プロライセンス選手への賞金提供や、参加者を限定した大会での賞金提供は、景品表示法の規制を受けないことが明確化されました。これにより、日本国内での高額賞金大会の開催が法的に問題なく行える道筋が示され、eスポーツのビジネスとしての可能性が拡大しました。
📎 出典・参考資料:
第1回全国都道府県対抗eスポーツ選手権開催
第1回となる「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が茨城県で開催されました。これはeスポーツの普及活動の一環として、地域に根ざしたeスポーツ文化の醸成を目指すものでした。この大会は、アジア競技大会への選手派遣と並び、JeSUの主要な活動の一つとして位置づけられています。eスポーツが全国規模で展開されるきっかけとなり、地方での認知度向上と活性化に貢献しました。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟
JeSUは、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟しました。これは、eスポーツの競技としての健全性を確保し、国際的なスポーツ団体との連携を強化するためです。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の検査対象となる国際大会への選手派遣を考慮し、アンチ・ドーピングに関する教育活動にも継続的に取り組んでいます。これにより、eスポーツの競技スポーツとしての信頼性が高まりました。
📎 出典・参考資料:
「日本eスポーツ白書」の刊行を開始
JeSUは、「日本eスポーツ白書」の刊行を開始しました。これは、日本のeスポーツ産業に関する客観的なデータや情報を提供し、産業の健全な発展を促進することを目的としています。市場規模の推移、ファン人口、関連イベント、課題と展望など、多角的な視点から日本のeスポーツの現状を分析・報告しています。これにより、eスポーツ市場の透明性が高まり、多様なステークホルダーにとって重要な情報源となりました。
アジア競技大会にTEAM JAPANを派遣
中国の杭州で開催された第19回アジア競技大会で、eスポーツが正式種目として実施され、JeSUはTEAM JAPANとして選手を派遣しました。2018年の参考競技を経て、eスポーツが国際的なスポーツイベントの正式種目となったことは、その地位向上を示すものです。JeSUは、日本オリンピック委員会(JOC)に推薦する形で代表候補選手を派遣し、日本のeスポーツ選手の活躍の場を拡大しました。
日本オリンピック委員会(JOC)に準加盟
JeSUが日本オリンピック委員会(JOC)に準加盟しました。これは、2026年のアジア競技大会など国際大会への選手派遣を迅速に進めることを最優先としたものです。JOCへの準加盟は、eスポーツが日本のスポーツ界で正式な地位を獲得する上で重要な一歩となり、今後のオリンピック種目採用への期待も高まりました。JeSUは、各競技のスポーツ団体との連携を強化し、eスポーツのさらなる発展を目指します。