八丈島を襲った二つの台風:被害と復旧の記録
2025年10月、八丈島は記録的な暴風雨をもたらした台風22号と、それに続く台風23号に相次いで見舞われました。このタイムラインでは、島が受けた甚大な被害、住民生活への影響、そして復旧に向けた取り組みを時系列で追います。
📝 総括
2025年10月、八丈島は記録的な暴風雨をもたらした台風22号と、それに続く台風23号に相次いで襲われました。
10月9日、台風22号が直撃し、観測史上最大の降水量と猛烈な風により、広範囲で建物被害、土砂災害、道路閉鎖、島内全域での停電・断水が発生しました。町長は被害を公表し、東京都や自衛隊などに支援を要請。海上保安庁による給水支援も行われましたが、次の台風への不安も募りました。
10月13日には、強い台風23号が再直撃し、被害は拡大。新たな停電・断水も発生し、ライフライン復旧の長期化が懸念されました。台風通過後、復旧作業が再開されましたが、土砂崩れの影響で避難指示が継続される地域もありました。
その後、被災者支援拠点「あすなろ」が設置され、徐々に復旧が進みました。10月27日には末吉地区で18日ぶりの断水解消、10月31日には一周道路の一部解除や観光施設の再開もありました。11月8日には漁業再開の見通しが立ちましたが、一部で断水が継続。11月14日には八丈太鼓の練習が再開され、復興支援フェアも始まりました。11月17日には全域で断水が解消されましたが、節水への協力が呼びかけられました。11月20日には復興マップが公開され、観光復興に向けた情報発信が強化されました。
📜 タイムライン
台風22号、八丈島に特別警報
非常に強い勢力の台風22号が伊豆諸島に接近し、気象庁は八丈町と青ヶ島村に暴風・波浪特別警報を発表しました。これにより、島では交通規制が始まり、住民には最大級の警戒が呼びかけられました。これは、八丈島が経験する一連の台風被害の始まりでした。
📎 出典・参考資料:
台風22号直撃、記録的暴風雨
台風22号が八丈島を直撃し、記録的な大雨と猛烈な風を観測しました。八丈島空港では最大瞬間風速54.7m/s、24時間降水量は356.5mm(観測史上最大)を記録。広範囲で建物被害、土砂災害、道路閉鎖が発生し、島内全域で停電と断水が発生しました。住民生活は大きな支障をきたしました。
📎 出典・参考資料:
- https://www.tachikawa-shakyo.or.jp/2025/10/16/%E4%BB%A4%E5%92%8C7%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A822%E5%8F%B7%E3%83%BB23%E5%8F%B7%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
- https://tenki.jp/forecaster/tanaka_masashi/2025/10/09/36108.html
- https://www.youtube.com/watch?v=BMfjp2TTCl8
町長が被害公表、支援要請
八丈町長は、台風22号による広範囲な被害、特に家屋と水道施設への深刻な被害を町民に報告しました。東京都や自衛隊、海上保安庁などに協力を要請し、復旧作業が始まりましたが、断水は依然として深刻な状況でした。また、次の台風23号への警戒も呼びかけられました。
海上保安庁が給水支援
台風22号による断水が続く中、海上保安庁の船が400トンの水を運び八丈島に到着し、給水支援が行われました。しかし、台風23号が接近しており、海が荒れると物資輸送が滞る懸念から、住民の不安は募りました。復旧作業と新たな台風への備えが同時進行しました。
台風23号が再直撃、被害拡大
強い台風23号が八丈島を再び直撃し、2週連続で最大瞬間風速40m/s超の暴風に見舞われました。八丈島空港では42.7m/sを観測。1時間に44.0mmの激しい雨も観測され、電柱の倒壊や屋根の破損といった被害が再発しました。新たな停電や断水も発生し、ライフライン復旧の長期化が懸念されました。
復旧作業再開、一部避難指示継続
台風23号通過後、八丈島で復旧作業が再開されました。しかし、末吉地区では土砂崩れの影響で避難指示が継続され、113人が避難所生活を余儀なくされました。道路の修復工事も始まりましたが、ライフラインの寸断が続き、避難住民の生活再建の見通しは依然として厳しい状況でした。
被災者支援拠点「あすなろ」設置
八丈町社会福祉協議会は、八丈町役場と連携し、被災者支援とボランティア活動の拠点となる「八丈島ささえあいセンター『あすなろ』」を設置しました。ここでは、被災者支援やボランティア情報の提供、義援金・支援金の募集窓口としての役割を担い、災害対応体制が強化されました。
📎 出典・参考資料:
末吉地区で18日ぶり断水解消
台風22号の被害で断水が続いていた末吉地区の一部で、18日ぶりに水の供給が再開されました。水源の応急復旧が進んだためですが、町は引き続き545世帯で断水が続いているとし、節水を呼びかけました。11月末までの全世帯断水解消を目指す方針が示されました。
一周道路一部解除、観光施設再開
八丈一周道路の一部区間の通行止めが解除され、交通の利便性が向上しました。八丈植物公園やビジターセンターも一部営業を再開し、観光復興への期待が高まりました。しかし、被害の大きかった地域では、まだ復旧作業が続いていました。
漁業再開へ、断水一部継続
港の水道設備が復旧し、基幹産業である漁業が再開される見通しとなりました。しかし、台風被害から約1ヶ月が経過しても、なお12世帯で断水が続いていました。災害廃棄物は約2万5000トンにのぼると見込まれ、産業復興の兆しと共に、長期的な課題も浮き彫りになりました。
八丈太鼓練習再開
住宅被害を受けた島民への配慮から自粛されていた八丈太鼓の練習が、新しい会場で試験的に再開されました。これは、島の日常を取り戻したいという住民の思いの表れです。一方、自衛隊による入浴設備は11月14日をもって終了しました。
復興支援フェア開始
八丈島と青ヶ島の焼酎を提供する復興支援フェアが、全国11店舗の焼酎ダイニング「芋蔵」で始まりました。これは、被災した両島の経済復興を支援する取り組みで、売上の一部が復興資金に寄付されます。島酒の魅力を通じて、継続的な支援を呼びかけるものです。
全域で断水解消、節水継続
八丈島内全域で断水が解消されました。被害のあった水源の応急復旧工事が進んだためですが、水の需要が増加しており、再度断水する可能性も指摘されています。そのため、引き続き節水への協力が呼びかけられました。ライフライン復旧は大きく前進しましたが、安定供給には課題が残りました。
復興マップ公開、観光情報更新
八丈町商工会は、観光客が安心して島内を巡れるよう「八丈島復興マップ」を公開しました。また、八丈島観光協会は施設の営業情報を更新し、樫立温泉「ふれあいの湯」などが営業再開を発表しました。観光復興に向けた情報発信が強化されています。