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猫の腎臓病治療薬「AIM新薬」開発の歩み

2025年11月27日

猫の慢性腎臓病治療薬「AIM新薬」の開発は、1999年のAIMタンパク質発見から始まりました。長年の研究を経て、2025年には治験が開始され、実用化への期待が高まっています。このタイムラインでは、その開発の道のりを主要な出来事とともに振り返ります。

📝 総括

猫の腎臓病治療薬「AIM新薬」開発の歩み:総括

猫の慢性腎臓病治療薬「AIM新薬」の開発は、1999年のAIMタンパク質発見から始まりました。当初は免疫学的な研究でしたが、2000年にはAIMが老廃物除去に関わる機能を持つことが明らかになり、研究の幅が広がりました。

2013年に猫のAIM研究が着手され、2016年には猫が先天的にAIM機能不全を持つために腎臓病になりやすいメカニズムが解明されました。この発見は、AIM投与による治療の可能性を示唆しました。

開発は資金難に直面しましたが、2021年の愛猫家からの多額の寄付により再始動。2022年にはAIM医学研究所が設立され、2023年には実用化に向けた株式会社IAM CATが発足しました。

2024年には最終安全性試験が実施され、2025年には治験に向けた調査採血募集、そして全国26病院での治験開始へと進んでいます。現在、販売名案の募集も開始されており、実用化が目前に迫っています。

📜 タイムライン

1
📅 1999年1月1日

AIMタンパク質の発見

宮崎徹氏が、マクロファージの細胞死を抑制するタンパク質「AIM」を発見し、論文で発表しました。この発見は、後の様々な疾患治療研究の基礎となりました。当初は免疫学的な視点からの研究が中心でしたが、この発見が猫の腎臓病治療薬開発の第一歩となりました。

2
📅 2000年1月1日

AIMの新たな機能を発見

宮崎氏が、AIMが肥満や脂肪肝などの生活習慣病に関連していることを発見しました。AIMは体内の「ゴミ」を掃除するマクロファージの働きを助ける「札」のような役割を果たすことが明らかになり、病気の原因となる老廃物除去におけるAIMの重要性が認識されました。これにより、研究の方向性が大きく広がりました。

3
📅 2013年1月1日

猫のAIM研究を開始

宮崎徹氏が、猫のAIM研究に着手しました。当時、多くの猫が腎臓病で命を落とす現状がありましたが、その原因は不明でした。この研究開始は、猫の腎臓病治療薬開発に向けた具体的な第一歩となりました。

4
📅 2016年1月1日

猫の腎臓病とAIM機能不全の関連を解明

猫はAIMが先天的に機能しないため、腎臓に老廃物が蓄積しやすく、腎臓病になりやすいメカニズムが解明されました。猫のAIMは人間とアミノ酸配列が異なり、遺伝的に働かないことが判明しました。この発見は、AIMを投与することで猫の腎臓病を治療できる可能性を示し、治療薬開発の根拠となりました。

5
📅 2021年7月1日

寄付により開発再始動

コロナ禍で開発資金が滞り、猫用AIM薬の開発が一時中断の危機に瀕しました。しかし、宮崎氏の著書に関する記事が拡散されたことをきっかけに、愛猫家から約2.8億円もの寄付が集まり、開発が再始動・加速しました。この多額の寄付は、研究開発を大きく後押ししました。

6
📅 2022年4月1日

AIM医学研究所を設立

宮崎徹氏が東京大学を退任し、一般社団法人AIM医学研究所(IAM)を設立しました。代表理事・所長としてAIM研究に専念する体制を確立し、研究をさらに加速させることを目指しました。Cygamesも開発研究に賛同し、寄付を発表するなど、研究体制が強化されました。

7
📅 2023年8月22日

株式会社IAM CAT発足

猫の治療薬を世に出すための会社「IAM CAT」が発足しました。これは、AIM薬の実用化を加速させるための専用プラットフォームとして、猫に特化した臨床開発を推進する役割を担います。治療薬の実用化に向けた商業的な側面が強化されました。

8
📅 2024年6月1日

最終安全性試験を実施

実際の治験開始に先立ち、臨床試験前の最終安全性試験が実施されました。これまでの基礎研究や動物実験を経て、薬の安全性を確認する重要なステップが行われました。これにより、治験開始への道筋が整えられました。

📎 出典・参考資料:

9
📅 2025年2月3日

治験に向けた調査採血募集開始

株式会社IAM CATが、治験に先駆けた調査(血液検査)への協力を募集開始しました。これは、特定のステージの慢性腎臓病を患う猫の数を把握し、治験参加者の選定基準を明確にするためのデータ収集が目的でした。募集は無償で行われました。

10
📅 2025年5月1日

調査採血の申し込み終了

治験に先駆けた調査採血の申し込みが834名で終了しました。SNSでの募集に対し、800匹を超える猫と飼い主から参加希望があり、全国各地から561匹の猫が血液検査を受けました。多くの愛猫家が新薬に期待を寄せていることが示されました。

11
📅 2025年5月29日

全国26病院で治験開始

猫用のAIM製剤の治験(臨床試験)が、全国26の動物病院で正式に開始されました。長年の研究を経て、実際の猫を対象とした検証段階に入りました。治験ではAIM注射が投与され、安全性と有効性が確認されます。この新薬は、猫の慢性腎臓病治療に新たな希望をもたらす一歩となります。

12
📅 2025年11月10日

販売名案の募集開始

株式会社IAM CATが、AIM猫薬の販売名(商品名)の案を募集開始しました。治験が間もなく終了し、承認申請が見込まれるため、実用化に向けた準備の一環です。多くの愛猫家からの支援を受けて開発された薬であるため、販売名も公募する形が取られました。これは薬の実用化が近いことを示唆しています。

📎 出典・参考資料: