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ガソリン暫定税率、50年の歴史に幕を下ろすまでの道のり

2025年11月29日

1974年に導入されたガソリン暫定税率が、50年以上の時を経て2025年末に廃止されるまでの経緯を、主要な出来事に焦点を当てて解説します。税率の変遷、政治的な混乱、そして国民生活への影響をたどります。

📝 総括

1974年にオイルショック後の財源確保のため導入されたガソリン暫定税率は、50年以上の「暫定」措置となりました。

2008年には参議院での延長反対により一時失効しましたが、衆議院の再可決で復活し、国民の不満を高めました。2009年には道路特定財源制度が廃止され、ガソリン税は一般財源化されました。2010年には「当分の間税率」へ名称変更と同時に、価格高騰時に税率を引き下げるトリガー条項が創設されました。しかし、東日本大震災からの復興財源確保のため、トリガー条項は2011年に凍結され、以降長期間継続しました。

2022年には原油価格高騰対策としてガソリン補助金制度が導入されました。2023年11月にはトリガー条項の凍結解除検討指示が出され、2025年10月には与野党6党がガソリン暫定税率を2025年末、軽油引取税を2026年4月に廃止することで合意しました。最終的に、ガソリン暫定税率廃止法は2025年11月28日に成立し、50年以上にわたる暫定措置に幕を下ろすことが正式に決定しました。

📜 タイムライン

1
📅 1974年

ガソリン暫定税率が導入される

オイルショック後の財源確保のため、ガソリンに本来の税率と同額の暫定税率が上乗せされました。当初は2年間の時限措置でしたが、これが50年以上にわたる「暫定」税率の始まりとなりました。この措置により、ガソリン1リットルあたりの税負担が増加しました。

2
📅 2008年3月31日

暫定税率が一時的に失効(ガソリン国会)

参議院で野党が暫定税率の延長に反対したため、延長法案が可決されず、3月末をもって暫定税率が一時的に失効しました。これにより、ガソリン価格は大幅に下落しました。この出来事は、政治的な駆け引きの材料ともなり、「ガソリン国会」と呼ばれました。

3
📅 2008年4月30日

衆議院の再可決で暫定税率が復活

わずか1ヶ月で、衆議院の再可決により暫定税率が復活しました。これにより、5月1日から再び税率が適用され、ガソリン価格は急騰しました。この混乱は、国民の不満を高め、翌年の政権交代の一因とも言われています。

📎 出典・参考資料:

4
📅 2009年

道路特定財源制度が廃止、ガソリン税は一般財源化

道路整備にのみ使途が限定されていた道路特定財源制度が廃止され、ガソリン税収は一般財源として、より幅広い用途に使われるようになりました。これにより、税収の使途は柔軟になったものの、道路整備との直接的な関連性は薄れました。

5
📅 2010年1月1日

「当分の間税率」へ名称変更とトリガー条項創設

暫定税率の名称が「当分の間税率」に変更されました。同時に、ガソリン価格が一定以上高騰した場合に税率を自動的に引き下げる「トリガー条項」が創設されました。これは、2008年の混乱を踏まえ、価格変動への対応力を高めるための措置でした。

6
📅 2011年3月11日

トリガー条項が凍結(東日本大震災)

東日本大震災からの復興財源を確保するため、トリガー条項の発動が凍結されました。これにより、ガソリン価格が高騰しても、自動的な減税措置が適用されなくなり、消費者の負担軽減策は事実上失われました。この凍結は長期間続くことになります。

7
📅 2022年1月1日

ガソリン補助金制度が導入される

原油価格の高騰と円安によるガソリン価格の上昇を受け、政府は「燃料油価格激変緩和対策事業」としてガソリン補助金制度を導入しました。当初は全国平均小売価格が170円/Lを超えた分に対し、1リットルあたり5円を上限に支給されました。これにより、価格高騰を一部抑制する効果がありました。

📎 出典・参考資料:

8
📅 2023年11月24日

トリガー条項凍結解除の検討指示

ガソリン価格の高止まりが続く中、岸田首相はガソリン税のトリガー条項の凍結解除について、与党と国民民主党の間で検討を進めるよう指示しました。これは、長年凍結されていた減税措置の復活に向けた動きとして注目されました。

9
📅 2025年10月31日

与野党6党、年内廃止で合意

参議院で与党が過半数を割ったことを受け、自民党、立憲民主党など与野党6党が、ガソリンの旧暫定税率を年内のできるだけ早い時期に廃止することで合意しました。これにより、長年の懸案であった暫定税率廃止が現実味を帯びてきました。

10
📅 2025年10月31日

ガソリン暫定税率12月末、軽油は来年4月廃止で合意

与野党6党は、ガソリンの暫定税率を2025年12月31日に、軽油引取税の暫定税率を2026年4月1日に廃止することで正式に合意しました。廃止に伴う財源確保については、歳出改革や法人税の見直しなどが検討されることになりました。

11
📅 2025年11月28日

ガソリン暫定税率廃止法が成立

ガソリン税の暫定税率を廃止する法律が、参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。1974年の導入から50年以上続いた「暫定」措置がついに終わりを迎えることになりました。これにより、ガソリン税は2025年12月31日に廃止されることが正式に決定しました。