米価高騰の記録:2023年から2025年までの出来事
2023年から2025年にかけて、記録的な猛暑や生産コストの上昇、そして「令和の米騒動」と呼ばれる社会現象を経て、米の価格が大きく変動しました。このタイムラインでは、米価高騰に至るまでの主要な出来事を、一般の方にも分かりやすく解説します。価格の推移や背景、そしてその影響を時系列で追っていきましょう。
📝 総括
米価高騰の記録:2023年~2025年の総括
2023年から2025年にかけて、米の価格は記録的な高騰を経験しました。2023年の猛暑と生産コストの上昇がその兆しとなり、2024年3月にはJA新潟が概算金を大幅に引き上げました。同年6月には都区部で米小売価格が上昇し始め、8月には「令和の米騒動」と呼ばれる買い占め・品薄が発生、卸売価格は1kgあたり500円まで高騰しました。
2024年産米の概算金は多くの県で過去最高を記録し、12月には相対取引価格が前年比約60%上昇しました。2025年1月にはスポット取引価格が3倍に達し、政府は3月に備蓄米放出を開始、5月には小売価格がピークの4,689円に達した後、下落傾向を見せました。しかし、2025年8月にはホクレンが2025年産米の概算金を大幅に引き上げ、10月には相対取引価格が前年比約63%上昇しました。11月には米5kg平均価格が過去最高を更新しましたが、2026年には輸入米の急増などによる価格調整が予測されています。
📜 タイムライン
猛暑とコスト増で米価高騰の兆し
2023年は記録的な猛暑と水不足に見舞われ、米の収穫量と品質に影響が出ました。同時に、肥料や燃料、人件費などの生産コストが大幅に上昇しました。長年減少傾向にあった米の消費量が、2021年から底を打ち、わずかに上向き始めた矢先の出来事でした。この年の異常気象とコスト上昇は、その後の米価高騰の土台となりました。一等米の比率低下など、品質面でも課題が見られました。
JA新潟、概算金を大幅引き上げ
JA全農新潟県本部が、2024年産米の主食用米(60kg)の概算金(農家への前払い金)を前年比約38%増の23,000円と決定しました。これは、新型コロナ禍以降の米価低迷と生産コスト上昇に苦しむ農家の経営を支援するものです。この決定は全国の他のJAにも影響を与え、概算金引き上げの動きが広がりました。
都区部で米小売価格が上昇
東京都区部におけるコシヒカリなど主要銘柄の5kg当たり米小売価格が、約2,561円となりました。これは、その後の急激な価格上昇の起点となる時期の価格水準を示しています。猛暑による供給量の減少懸念や、生産コストの上昇が徐々に価格に反映され始めた時期と言えます。
「令和の米騒動」発生、品薄と価格高騰
2024年8月中旬頃から、スーパーで米の買い占めや品薄が発生し、棚から米が消える店舗が現れました。南海トラフ地震臨時情報への懸念やメディア報道、SNSでの情報拡散が需要を急増させ、「令和の米騒動」と呼ばれる事態に発展しました。この時期、米の卸売価格は1kgあたり約500円まで高騰し、社会問題となりました。
2024年産米の概算金、過去最高を記録
JAcomの報道によると、2024年産米のJA仮渡金(概算金)が多くの県で過去最高を記録しました。これは、2023年産米の品不足による卸会社間の高値買い付け意欲や、資材価格の高騰を背景としています。例えば、富山県では「富富富」が60kgあたり16,800円、新潟県では「コシヒカリ」が17,000円となり、農家の生産意欲向上に繋がると期待されました。
2024年産米の取引価格が60%増
2024年産米の12月の相対取引価格は、全銘柄平均で玄米60kgあたり24,665円となり、前年同月比で約60%上昇しました。これは、JAによる概算金の大幅引き上げが卸売価格に転嫁された結果です。米価高騰が顕著になり、家計への影響も出始めていました。
📎 出典・参考資料:
スポット取引価格が3倍に高騰
卸売業者間の「スポット取引」市場では、価格高騰がさらに加速しました。2025年1月以降、同年産米の関東銘柄米は前年比で約3倍の水準に達し、60kgあたりの卸売価格は38,000円まで上昇しました。供給不足や流通の混乱、そして「さらなる値上がり」への懸念が価格を押し上げました。
政府が備蓄米放出を開始
米価高騰を受け、政府は備蓄米の放出を開始しました。この頃、スーパーでの米5kgの小売価格は4,000円を超え、東京都区部では非コシヒカリ米5kgが4,239円と、前年2月時点の約2倍に上昇していました。政府の対策により、一時的な価格沈静化が期待されました。
民間による米輸入が急増
国内産米の高騰を受け、民間による米の輸入が急増しました。2024年度の民間輸入量は1月末時点で991トンと、前年の約2.7倍に増加。大手商社による米国産米1万トンの輸入計画も報じられました。関税を支払っても日本産米より安価になる状況が、輸入を後押ししました。
米小売価格がピーク、その後下落
5kg当たりの米小売価格は2025年5月までに4,689円まで上昇し、ピークを迎えました。その後、政府備蓄米の放出が本格化し、6月上旬以降は小売価格が6週連続で下落。7月上旬には3,602円まで落ち着きました。しかし、依然として前年比では高い水準でした。
ホクレン、2025年産米の概算金を大幅増
ホクレンは2025年産米の概算金を大幅に引き上げました。「ゆめぴりか」は30,000円/60kg、「ななつぼし」は29,000円/60kgとなり、前年比で約1.7倍以上となりました。これは、上昇する生産コストを賄うためですが、新米の価格が5kgあたり500円程度値上がりするとの見方もあり、消費者からは「贅沢品になった」との声も上がりました。
📎 出典・参考資料:
2025年産米の取引価格、63%増
農林水産省によると、2025年9月の2025年産米の相対取引価格は、全銘柄平均で玄米60kgあたり36,895円となり、前年同月比で約63%上昇しました。これは、JAによる概算金の大幅な引き上げが、卸売価格に直接反映されたためです。
米5kg平均価格、過去最高を更新
全国のスーパーで販売される米5kgの平均価格が4,316円と、過去最高値を更新しました。概算金の大幅引き上げが小売価格に転嫁されたことや、生産コストの上昇、需給の引き締まりが要因とみられます。消費者の家計への圧迫感は増し、「米がいよいよ贅沢品になってきた」との声が相次いでいます。
2026年の米価、大幅調整の可能性
2025年秋も米価は高値が続いていますが、2026年には大幅な価格調整が予測されています。輸入米の急増と日本米の販売落ち込みにより、国内在庫が急増。消費者の米離れも進行しており、年明け以降の市場動向が注目されています。