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NISA制度の変遷:未成年者解禁への道のり

2025年12月02日

2001年の「貯蓄から投資へ」の方針から始まり、NISA、ジュニアNISA、そして新NISAへと続く日本の投資制度の歴史を、一般市民向けにわかりやすく解説します。特に、未成年者向け制度の導入と廃止、そして再検討の動きに焦点を当てます。

📝 総括

NISA制度の変遷:未成年者解禁への道のり

日本の投資制度は、2001年の「貯蓄から投資へ」という方針を起点に、個人投資家の育成を目指してきました。2014年には少額投資非課税制度(NISA)が導入され、投資利益の非課税化により家計の資産形成を支援しました。

その後、未成年者向けのジュニアNISA制度が2016年に開始されましたが、利用者の伸び悩みや払い出し制限の使いにくさから、2023年末に廃止となりました。

2024年には、非課税保有期間の無期限化や投資枠の拡大など、大幅に拡充された新NISA制度がスタートしましたが、当初は18歳以上が対象となり、未成年者は利用できない状況でした。しかし、子育て世代の資産形成支援や「貯蓄から投資へ」の方針推進のため、政府・与党は現在、未成年者へのNISA制度拡大を検討しており、0歳からの利用や親による「つみたて投資枠」の利用などが議論されています。

📜 タイムライン

1
📅 2001年1月1日

「貯蓄から投資へ」方針

日本経済再生のため、政府は「貯蓄から投資へ」という方針を打ち出しました。これは、預貯金中心の資産を株式などの投資に振り向けることを目指すものです。この方針は、個人投資家の市場参加を促すきっかけとなりました。

2
📅 2014年1月1日

一般NISA制度開始

「貯蓄から投資へ」の流れを進めるため、少額投資非課税制度(NISA)が始まりました。株式や投資信託などの投資で得られた利益が、一定の投資枠内で非課税になる制度です。家計の資産形成を支援し、個人が気軽に投資できる環境を整えることを目的としていました。

3
📅 2016年1月1日

ジュニアNISA制度開始

未成年者(0歳から17歳)を対象とした「ジュニアNISA」制度が導入されました。子どもや孫の将来のための資産形成を支援する目的で、年間80万円までの投資で得られた利益が5年間非課税になる制度でした。しかし、原則18歳まで払い出しができないなどの使い勝手の悪さから、利用者は伸び悩みました。

4
📅 2020年1月1日

ジュニアNISA廃止決定

利用者の低迷を受け、政府は2020年度の税制改正でジュニアNISA制度の廃止を決定しました。2023年末をもって新規の投資ができなくなることが決まりました。主な理由として、18歳まで払い出しができないという制度の使いにくさが指摘されていました。ただし、廃止決定後、払い出し制限は緩和されました。

5
📅 2022年6月7日

「資産所得倍増プラン」発表

岸田政権は、国民の資産形成をさらに後押しするため、「資産所得倍増プラン」を発表しました。家計の現預金偏重を是正し、投資による資産形成を促進することが目的です。このプランは、NISA制度の大幅な拡充へとつながり、2024年からの新NISA制度導入の大きな推進力となりました。

6
📅 2023年12月31日

ジュニアNISA制度終了

長らく利用されてきたジュニアNISA制度が、2023年末をもって正式に終了しました。利用者の伸び悩みや、払い出し制限の使いにくさが解消されなかったことが背景にあります。制度終了に伴い、すでに保有している商品は18歳になるまで非課税で保有し続けられるようになりました。

7
📅 2024年1月1日

新NISA制度スタート

NISA制度が大幅に拡充され、新しいNISA制度が始まりました。非課税保有期間が無期限化され、年間投資枠も大幅に拡大。生涯で1,800万円まで投資が可能になりました。しかし、この新NISAは18歳以上が対象となり、未成年者は利用できなくなったため、一時的に未成年者向けの非課税制度がない「空白期間」が生じました。

8
📅 2025年8月26日

金融庁、未成年NISA拡大を要望

金融庁は、2026年度の税制改正要望で、NISA制度を未成年者にも拡大することを提案しました。子育て世代の資産形成支援や、「貯蓄から投資へ」という方針をさらに推進するため、特に「つみたて投資枠」の対象年齢引き下げが要望されました。これにより、過去のジュニアNISAの教訓を踏まえた、新たな制度設計が期待されました。

📎 出典・参考資料:

9
📅 2025年12月1日

政府・与党、未成年者へNISA解禁検討

政府・与党が、NISA制度を18歳未満の未成年者も利用できるようにする方向で検討していることが報じられました。親が子ども名義で「つみたて投資枠」を利用する案などが議論されており、0歳から利用可能となる可能性も示唆されています。これは、子育て世代の資産形成支援を強化し、「貯蓄から投資へ」という政策を全世代に広げる狙いがあります。