マイナ保険証への移行:2013年から2025年までの歩み
マイナンバー制度の導入から、健康保険証との一体化、そしてその後の課題まで、2013年から2025年までの主要な出来事を時系列でたどります。国民生活に大きな影響を与えたこの制度の変遷をわかりやすく解説します。
📝 総括
マイナ保険証への移行:2013年から2025年までの歩み
2013年のマイナンバー法成立から始まり、2015年のマイナンバー通知、2016年の制度本格運用を経て、2021年にはマイナ保険証のオンライン資格確認が開始されました。
政府は2022年、2024年秋を目途に現行の健康保険証を原則廃止し、マイナ保険証へ一本化する方針を発表。しかし、2023年にはマイナ保険証での誤登録問題が相次ぎ、国民の不信感が高まりました。法改正により資格確認書の発行制度が整備されたものの、2024年12月には従来の健康保険証の新規発行が停止。
2025年に入ると、国民健康保険証の有効期限切れが順次開始され、12月1日には従来の健康保険証が全面期限切れとなりました。マイナ保険証への本格移行が始まったものの、利用率は37.14%に留まり、医療現場ではトラブルが続出。同日には「保険証廃止反対」の署名が国会に提出され、国民の不安払拭が大きな課題となっています。
📜 タイムライン
マイナンバー法が成立
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、通称マイナンバー法が成立しました。これにより、社会保障、税、災害対策の3分野での利用を目的としたマイナンバー制度の導入が決まりました。当初、マイナンバーカードの取得は任意とされていました。この法律は、行政の効率化や国民の利便性向上を目指す社会基盤として構想されたものです。国民一人ひとりに番号を付与し、行政事務を効率化することが期待されました。
マイナンバーの通知開始
国民一人ひとりにマイナンバー(個人番号)の通知が始まりました。住民票に登録されているすべての人に、12桁の個人番号が記載された通知カードが送付されました。これは、マイナンバー制度を本格的に運用するための重要なステップであり、制度への理解を深めるための広報活動も同時に行われました。この番号は、将来的に様々な行政手続きで必要となることが説明されました。
マイナンバー制度本格運用開始
マイナンバー制度が本格的に運用を開始し、同時にマイナンバーカードの交付も始まりました。このカードは、個人番号を証明する書類や本人確認書類として利用できるほか、ICチップに搭載された電子証明書により、様々な行政サービスへの活用が期待されました。社会保障、税、災害対策分野での情報連携を通じて、行政の効率化と国民の利便性向上を目指す制度の第一歩となりました。
マイナ保険証の本格運用開始
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」のオンライン資格確認が本格的に始まりました。これにより、医療機関の受付でマイナンバーカードをカードリーダーにかざすだけで、保険資格の確認が可能になりました。高額療養費の限度額適用認定証などの書類を持参する必要がなくなり、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、医療情報の共有による質の高い医療提供が目指されました。
📎 出典・参考資料:
健康保険証の原則廃止方針発表
政府は、2024年秋を目途に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切り替える方針を発表しました。この方針は、マイナンバーカードの普及促進と医療DXのさらなる推進を目的としていました。しかし、この発表はマイナンバーカードの取得が事実上の義務化になるのではないかという懸念を生み、国民の間で様々な議論を呼びました。
マイナンバー関連の誤登録問題が発覚
マイナ保険証において、別人の医療情報が紐付けられるなどの誤登録が相次いで発覚しました。公金受取口座や障害者手帳情報など、マイナンバーに紐付く様々な情報で誤登録が確認され、社会問題となりました。これらの問題は、地方自治体や保険者による入力ミス、システム上の不備などが原因とされました。この事態を受け、国民のマイナンバー制度への不信感が高まりました。
マイナンバー法等改正法が公布
マイナンバーカードと健康保険証の一体化を法的に整備するためのマイナンバー法等の改正法が公布されました。この法改正により、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が受けられない人に対しては、「資格確認書」が交付される仕組みが設けられました。これは、健康保険証の原則廃止方針に伴う、法的な裏付けを整備するものです。これにより、マイナ保険証を持たない人も医療を受けられる体制が整えられました。
オンライン資格確認義務付け訴訟判決
医療機関へのオンライン資格確認義務付けを巡る行政訴訟で、東京保険医協会の医師・歯科医師らが国を訴えた裁判の判決が言い渡されました。医療現場からは、エラー多発や利便性低下、セキュリティへの懸念が指摘されており、省令による義務付けの法的根拠が問われていました。この判決は、今後のマイナ保険証の運用方針や医療現場の対応に影響を与える可能性がありました。
従来の健康保険証の新規発行停止
2024年12月2日より、従来の健康保険証の新規発行および再発行が停止されました。これは、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた政府の方針に基づくものです。今後、新たに健康保険の資格を取得する人や保険証の再発行が必要な人は、マイナ保険証または「資格確認書」を利用することになります。この措置により、マイナ保険証への移行がさらに加速することになりました。
国民健康保険証の有効期限切れ開始
多くの自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより、順次失効し始めました。後期高齢者医療保険の保険証も同様に7月以降、順次期限切れとなります。これは、従来の健康保険証の廃止スケジュールに沿ったものです。マイナ保険証の利用率が伸び悩む中、保険証が使えなくなることで医療現場の混乱が懸念されました。国民はマイナ保険証か資格確認書での受診が必要となります。
マイナ保険証利用率37.14%に留まる
医療機関でのマイナ保険証の利用率が、10月末時点で37.14%に留まっていることが報じられました。受診時の顔認証や暗証番号入力の煩雑さ、過去の誤登録問題への不安などが、利用率が伸び悩む背景にあると指摘されています。政府が推進するマイナ保険証の利便性や医療DXのメリットが、国民に十分に浸透していない現状が浮き彫りとなり、普及に向けた大きな課題となっています。
従来の健康保険証が全面期限切れ
企業や公務員向けなどの従来の健康保険証が、この日をもって正式に期限切れとなりました。マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた政府の最終的な移行スケジュールに基づくものです。期限切れの保険証でも2026年3月末までは特例的に通常の窓口負担で受診が可能ですが、原則としてマイナ保険証か資格確認書での受診が求められることになります。これにより、マイナ保険証への移行が事実上完了しました。
マイナ保険証への本格移行開始
医療機関を受診する際に、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」またはマイナンバーカードを持たない人に発行された「資格確認書」を利用する仕組みへ、本格移行が始まりました。従来の健康保険証は廃止され、マイナ保険証を基本とする受診体制へと移行しました。マイナンバーカードの取得は法律上の義務ではないため、マイナ保険証を利用しない人には資格確認書が発行されます。しかし、移行後も医療現場ではトラブルが続き、国民の不安払拭が課題となっています。
「保険証廃止反対」署名206万筆を国会に提出
12月2日、従来の健康保険証が全面的に有効期限切れとなった日、都内で集会が開かれ、「保険証廃止反対・保険証復活」を求める206万4545筆の署名が国会議員に提出された。 保団連のアンケート調査(9741医療機関回答)によれば、約7割の医療機関でカードリーダーの接続不良や認証エラーなどのトラブルがあったと回答。トラブル発生時、約8割の医療機関が「従来の健康保険証で確認した」という。 集会では、2025年中に電子証明書の5年期限切れカードが約1580万枚、カード自体の10年期限切れを含めると約2780万枚が更新を迎えることへの懸念も示された。集会後、参加者らはデジタル庁前で抗議行動を行った。
📎 出典・参考資料: